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20090211 ハリポタ考察
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今回は,さまざまな死の受容プロセスを参考にして,スネイプ先生のリリーに対する死の受容を考えます。

今回はキューブラー・ロスに焦点を当てましょう。

この理論は,死にゆく患者に対するものです。

でも,参考図書(後述)では大切な誰かを失った,悲しみを抱えた人を対象に考えられていることから,悲しみを抱えた,スネイプ先生にも適応できると思いました。



キューブラー・ロスによる段階説では,以下のようなプロセスが提唱されています。

第1段階:否認
第2段階:怒り
第3段階:取引
第4段階:抑うつ
第5段階:受容
第6段階:希望

この単語に沿って,ハリポタ7巻死の秘宝㊦「プリンスの物語」(pp.405-456)を題材に,スネイプ先生の言動がどの段階に当たるものなのかを書いてみようと思います。

もちろんこれは一個人としての意見ですので,違う!と思う人もいると思います。

様々な意見があると思っています。

ぜひ他の意見も聞いてみたいなと思ってますので,コメントしてくださると嬉しいです。



第1段階:否認

この段階では,認めないための努力をします。

動かぬ証拠があっても認めないということも起きることがあります。


■当てはまると思った箇所
「何かが,傷ついた獣のような恐ろしい呻き声を上げていた」
「スネイプは何百年もの間,悲惨に生きてきたような顔だった」
→これらの様子から,非常に大きなショックを受けているように感じられます。


「リリーの息子を,わしが守るのを手伝うのじゃ」
「守る必要などありません。」
→守る必要がない,とスネイプ先生が言っているのはリリーと関係がある人のことを考えたくないという否認の気持ちがあるように思えます。




第2段階:怒り
嫉妬,恨み,相手から奪ってやりたいという気持ちを指します。

根底にある怒りを理解して受けとめることで次に進めると考えられています。


■当てはまると思った箇所
「あなたなら……きっと……あの女を……守ると思った」
「あなたは,私を利用した」
「私は……この長い年月……我々が彼女のために,あの子を守っていると思っていた」
→上記に挙げた言葉の中でも特に,1つ目の言葉は怒りを含んでいると感じました。
言い方がきつくないのは,相手がダンブルドアであり,寝返ったのを受け入れてくれたからでしょうか。


「あなたは,私に何もかも話すことは拒んでおきながら,そこまでのちょっとした奉仕を期待する!」
その細長い顔に,心から怒りが燃え上がった。
→「怒り」とはっきりと明記されていますね。


第3段階:取引

善行と引き換えに,自分が代わりに…という気持ちのことを指します。


■当てはまると思った箇所
「あの女を――全員を――安全に。お願いです」
「その代わりに,わしには何をくれるのじゃ,セブルス?」
「か――代わりに?」
「何なりと」
→リリーが死ぬ前のダンブルドアからの提案ですが,はっきりと取引が行われていることが見て取れます。


第4段階:抑うつ

抑うつ的な気分になります。

衰弱が見られることもあります。

■当てはまると思った箇所
「私も……私も死にたい……」
→将来に対する意識が向かず,死を願っていることから,抑うつ状態にあると思われます。


第5段階:受容

相手が亡くなったことを受け入れます。
「永遠に」
→このセリフは,もういないけれど,ずっと愛している…という意味だと思います。


第6段階:希望

スネイプ先生がリリーの息子を守るためにした広範囲にわたる行動すべてが当てはまると思います。



参考文献

Kerstin Lammer (2013). 浅見洋・吉田新 (訳者) 悲しみに寄り添う 死別と悲哀の心理学. 東京:新教出版社.
J.K.Rowling (2008). ハリー・ポッターと死の秘宝㊦. 東京:静山社.

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